ドイツ南西部、フランス・スイスの国境に近く位置するフライブルクは、石畳とゴシック建築の教会で美しい中世の面影を残す人口20万人の静かな都市です。


ドイツでは二番目に古い伝統を誇るフライブルク大学は学生数約2,000人を抱え、学術的で若々しい雰囲気のあるこの町の中核をなしています。それ故フライブルクは大学の町、ゴシックの町と言いわれ、又、バーデン・ワインの特産地も控えている所から、ワインの町としても有名です。しかしながら、フライブルクの名を世界中に知らしめた最も重要な事は、ドイツの他の都市に先駆け、30年以上前から画期的な環境政策を推進した事にあります。

フライブルクは1120年に成立し、商業道路の交差地点に居住が始まって以来の歴史を持っています。長い間、オーストリアのハプスブルグ家の統治にあったこと、又ナポレオンの占領下にあった時代の面影が、現在の町での独特の雰囲気、ドイツでもやわらかい優美な気風に影響を及ぼしていると言えます。 フライブルクの町の中を流れる小川(ベッヘレと呼ばれている)も、フライブルクの現在の環境都市計画として整備され、くつろいだ町の雰囲気と、真夏に涼風を吹き込む事に一役買っていますが、これも元来は町の成立当初に用水としてつくられたものでした。

フライブルクは西側にライン河、東側にシュヴァルツヴァルト(黒い森)山地を控え、美しい自然に恵まれています。フライブルクでも、人間が自然と共生するエコポリスの実現に向けては30年以上前から様々な環境行政が試行錯誤されてきました。南ドイツで環境局という部門ができたのもフライブルクは一番最初で、現在ではフライブルク市内のみならず、バーゼル(スイス)・ミュールーズ(フランス)・コルマール(フランス)とも共同で「三国間地域システム政策(Regio 政策)」の核として、企業や民間の研究開発機関とも連携体制を取りながら環境政策を進めています。フライブルク市を含む周辺三国は、今や市の環境対策を柱にECの実験場として、文字通り共同で活動している現場なのです。フライブルク周辺が地図上でちょうどヨーロッパの中心にあることも、これからの将来を意味するものでしょう。ちょうど地球時代といわれる今日、この町には国際連合の機関「地方自治体の為の国際環境機関」(ICLEI)の欧州事務局が1992年10月に設置され、国際的なレベルでのエコポリスとしての性格を更に強めてきました。

15世紀からあるフライブルク大学を中心とした諸機関が、この研究開発の役割を果たし環境意識の高い町づくりを促進しています。市民の様々な面での環境に対する思いや考えが公民両機関に反映され、住民運動を意味あるものとし、又、学術機関の設立や発展に寄与してきたのです。更にエコ研究所、自然保護団体、フラウンホーファー物理研究所、その他数多くの環境関係機関がこのフライブルク市で活動しています。フライブルクの町で見られる交通対策、ゴミ処理対策、エネルギー対策、森林対策等、この町のオリジナルな実験例を経て、連邦レベルで広がっている環境対策が少なくありません。

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